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電気用品安全法と母・裕子の店
昨日洗濯機が壊れました。洗うのまではできるんだけど、すすぎになるとエラーが出る・・・。
この洗濯機は私が一人暮らしをするときに買ったもので、もう8年ぐらい前のもの。しかもリサイクルショップで中古で買ったから、相当古いものなんだと思う。でもこれまでまったく問題なく使えてたので油断してました。

a0046686_175249100.jpgで、お金がないので電気用品安全法が施行される4月1日までに中古で買わなきゃ、と思ってふと気づいたんですが、私がこの洗濯機を買ったのって、両親がなじみにしているリサイクルショップだったんでした。ウチの親はリサイクルショップを経営しているんですが、家電はあまり扱っていないため、両親が知り合いのお店をまわって質の良い洗濯機、冷蔵庫、レンジ、その他一人暮らしに必要な家電製品のほとんどを安く集めてくれたのです。それを結婚した今でも、ほとんど現役で使っています。

それで、考えてみるとそういう家電をメインに扱っているリサイクルショップの大部分は今回の電気用品安全法で息の根をとめられちゃうわけで、今まで自分は新品を買えばいいやと思ってたけど、そういう問題じゃないということに今さら気づきました。そもそもウチの親の店は家電をあまり扱っていないとはいえ、同業者から品物を買い付けることもよくあって、それらのお店が崩れると、雪だるま式に崩れる可能性もあるわけで。この業界は横の繋がりが特に大事で、情報を共有したり、安く買い付けたりしながらもちつもたれつ生きているというのが現状。この法律の施行はヒトゴトじゃないどころか肉親に関わる超重要なことだったのでした。




a0046686_18235150.jpg勤めていた建築会社がバブルの崩壊とともに倒産し、フリーで内装屋を始めた父の仕事といえばススキノのいかがわしいスナックの内装ばかり、そんな父をずっとパート勤めで支えてきた母が50歳になったとき、「自分のお店を持ちたい」と、夢のようなことを言い出した。リサイクルショップをやりたいの、と話す母に、家族は反対したわけじゃないけど、まさかできるわけないっていう雰囲気だった。こんな状況でお金があるわけじゃないし、だいたいお店をひらくための経営の知識とかあるの?好きでやるだけじゃ続かないよ、って私は思ってた。でも、それまで古い家具とか小物とかが常軌を逸するほど好きだった母が、自分のお店を持ちたいという気持ちはすごくわかったし、これまで自分から何かやりたいと主張することもなかったから、好きなことをやってみたら?という気持ちもあった。ただし責任は自分でとってね、とも冷たく思ってた。

そうしてできたリサイクルショップは、母がいつも好きで集めていた古い着物や家具や小物であふれかえって、搬入を手伝った家族全員、出前の蕎麦を食べながらすごく感慨深かったのを今でも思えてる。やればできるんだ、というあたりまえで陳腐な言葉を、このときほど実感したことはなかった。

そして今思い出してもナサケなくて笑っちゃうけど、オープン初日、好きで集めたものたちが人に売れていくのを、母はイヤがって泣いた。売るために陳列してるのに、自分の手から離れていくのがイヤなんだって。そのときは笑いながらアホかー!と思ったけど、今思うとちょっとあったかいなぁと思った。そんなに思い入れがあって売るなんて、いいじゃない。

あとから聞いた話だけど、親戚はみんな、母がリサイクルショップを始めたことを良く思っていなかったらしい。中古のものを集めて売るなんて、汚らわしい商売・・・と思っている人が大半だったんだって。大手の企業に勤めている、古い考え方の人たちが大勢だった。

a0046686_175323.jpgでも今は、親戚もよくお店にたずねてくるようになった。母は今までおさえつけられていたものが噴出したのか、その後8年間で驚くほどの飛躍を見せ、その業界で「先生」とよばれるほどの古物商になった。お店の商品点数もすさまじい勢いで増え、狭くて引越しをするほどになった。遊びに行くたび配置が変わっており、それが売るためのコツなんだと教えてくれた。模様替えが大好きで、家に帰るたび「また配置が変わっとる!」と家族をゲンナリさせていた母・裕子の本領が、リサイクルショップというステージでついに発揮されたのだ。フリーの内装屋だった父もいつのまにか巻き込まれ、買出しや搬出係をやらされている。
これが、リサイクルショップを経営している私の両親。

そして電気用品安全法。もう中古の家電を売ることも買うこともできなくなる。PSEマークを取得すれば売ることができるけど、自費で検査をして、さらに自分で全責任を取るっていうことじゃなきゃいけないらしい。そんなこと、あんな小さないち店舗にできるわけないじゃん。だいたいなんでメーカーのリスクをいち個人商店が負わなきゃいけないわけ?と思うんだけど、そんなこと今頃このblogで言っても仕方ないんだろうな。

ここまで書いて心配になってきたので、母に電話をしてみたら「うちのお店にはそんなに影響無いわ」とあっさり返事をされて脱力した。き、杞憂だった・・・。でもやっぱり同業者で廃業の危機に瀕しているお店はあるそうで、早くから嘆願書が出されていたみたい。それでも2年後には母の好きなアンティークの電気スタンドも売ることができなくなるようで、「ちょうどいいから2年後になったら引退してゆっくりしようかと思ってるの」なんてさみしいセリフを最後に聞かされて、何かを置き去りにされたような気持ちになりました。

それにしても、最近ようやく携帯メールを覚えたような超ジュラ期な母が、早くからその情報を仕入れて同業者と対策を講じている姿なんて、想像もできません。私なんか、情報のほとんどはデジタルで入手してるから、パソコンがなきゃ、調べもの一つもできないと思う。バーチャルに溢れる不確かな大量の情報よりも、少ないけどリアルな世界の濃い情報のほうが、よっぽど生きる上で役立つんじゃないだろうか、とちょっと思ったり思わなかったりしました。

ちなみに電気用品ってまさかデジカメは含まれないよね?!と思って調べてみましたが、どうやらデジカメは対象外のようでした。ふぅ・・・。

今日は長く書いたなー!
by chihosh | 2006-03-06 18:26


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